照明で変わる心地よい暮らし。
光で彩る、心地よい暮らし
新しいおうち、どんな空間にしたいですか?家族が集まる温かいリビング、集中できる書斎、ぐっすり眠れる寝室…。そんな理想の暮らしを叶えるために、実は「照明」がとても大切な役割を果たします。照明ひとつで、お部屋の雰囲気はガラリと変わり、日々の心地よさも大きく左右されるのです。
この記事では、照明の基本から、あなただけの素敵な空間を作るヒントまで、やさしくご紹介します。
1|はじめの一歩!照明のキホン
「建築は光の芸術である」。これは有名な建築家の言葉です。プロたちは、照明をただ部屋を明るくする道具ではなく、空間を豊かにするための大切な要素と考えています。
明るさの目安「ルクス」
照明の明るさは「ルクス」という単位で表されます。と言っても、難しく考える必要はありません。「新聞や本を読むならこのくらい」「家族で団らんするならこのくらい」という、シーンごとの明るさの目安です。例えば、リビングでくつろぐなら150ルクス程度が一般的。でも、これはあくまで数字の目安。壁や床の色、過ごし方によっても「心地いい明るさ」は変わってきます。
「一室一灯」から「多灯分散」へ
これまでの日本の住まいでは、部屋の真ん中に大きな照明(シーリングライト)を一つだけつける「一室一灯」が主流でした。でも、これからは「多灯(たとう)分散」という考え方を取り入れてみませんか?これは、ペンダントライトやフロアスタンド、間接照明など、複数の小さなあかりを部屋の中に散りばめる方法です。
食事をするときはテーブルの上を、本を読むときは手元を、というように「必要な場所を、必要なぶんだけ」照らすことで、空間にメリハリが生まれ、グッとおしゃれで落ち着いた雰囲気になります。
2|「心地いい明るさ」は、人それぞれ
人間の目はとても高性能で、真夏の太陽の下から、月の光しかない夜道まで、幅広い明るさに順応できます。だからこそ、同じ明るさでも「ちょっと暗いかな?」と感じる人もいれば、「まぶしすぎる!」と感じる人もいるのです。
照明計画で大切なのは、カタログの数値だけを信じるのではなく、「あなたや家族がどう感じるか」という感性を大切にすること。ある建築家は、太陽の光が差し込む大きな窓を大切にし、人工の照明はあくまで補助として使いました。日中は自然の光をたっぷり浴び、夜は穏やかな光で過ごす。そんな風に、光との付き合い方を考えてみるのも素敵ですね。
3|世界に学ぶ、おしゃれな光のヒント
世界に目を向けると、さまざまな光の楽しみ方があります。
ヨーロッパ:あたたかな光で、くつろぎの時間を
ヨーロッパのレストランや家庭では、キャンドルの炎のような、オレンジがかった温かい色の光が好まれます。全体を煌々と照らすのではなく、テーブルの上やソファの横など、人が集まる場所を優しく照らし、落ち着いた雰囲気を作るのがとても上手です。私たちがよく使う、青白い蛍光灯の光は「なんだか落ち着かない」と感じる人が多いそうです。
中東:光をアートのように楽しむ
中東の国々では、お気に入りの絵や美しい真鍮の置物などにスポットライトを当て、そのきらめきを楽しむ文化があります。光を「明るくするためのもの」だけでなく、「美しいものを引き立てるための飾り」として捉えているのです。お気に入りの雑貨や観葉植物を小さなライトで照らすだけで、お部屋の一角が特別なアートスペースに変わりますよ。
4|日本の暮らしに学ぶ「陰影の美しさ」
実は、私たち日本人も、昔は光と影が織りなす繊細な美しさを楽しむ文化を持っていました。障子ごしに差し込む柔らかな光、行灯(あんどん)のほのかな灯り、縁側から眺める月の光…。
いつからか、部屋の隅々まで明るくすることが当たり前になってしまいましたが、時にはメインの照明を消して、間接照明だけで過ごしてみてはいかがでしょうか。明るい部分と暗い部分のコントラスト(陰影)が生まれることで、空間に奥行きが感じられ、心がすーっと落ち着いていくのを感じられるはずです。光と影を巧みに使うことで知られる建築家も、その対比によって静かで豊かな空間を生み出しています。
5|さあ、あなただけの光を見つけよう
新しい家づくりは、あなたの暮らしそのものをデザインするということ。そして照明は、その暮らしを豊かに彩るための、最高のスパイスです。
「明るくなくちゃ!」という思い込みから、少しだけ自由になってみませんか?暗さを恐れるのではなく、「暗さを楽しむ」という視点を持ってみてください。穏やかな暗がりの中には、リラックスできたり、物事が美しく見えたり、心が豊かになるヒントがたくさん隠されています。
まずは、寝る前の30分、天井の照明を消して、テーブルランプやフロアスタンドのあかりだけで過ごしてみる。それだけでも、きっと新しい心地よさに出会えるはずです。
あなたとご家族にとって、最高に心地よい光を見つけて、素敵な暮らしを創り出してくださいね。
0コメント